TALK SALON

「環境技術×アート」が生み出すダイナミズムを誘発する企業とアーティストが対話するトークサロン

最新の環境技術を持った企業と、技術を活用して新たな夜景を創造するアーティストが出会う場所。7月21日に開催された第2回トークサロンは、まさにスマートイルミネーション横浜のコンセプトの根幹をなすテーマが設定された。

過去4回開催されてきたスマートイルミネーション横浜では、実にさまざまな企業とアーティストとのコラボレーションが実現している。2011年には、キング、クイーン、ジャックの愛称で親しまれ、“横浜三塔”と呼ばれている歴史的建造物の照明が、コンピューター・プログラミングによって、3塔同時に様々な色の光に移り変わる作品に注目が集まった。機材を提供したのはカラーキネティクス・ジャパン株式会社と日東光学株式会社、作品の一部に電源を供給するソーラーパネルは株式会社ハートスが提供し、アーティストの藤本隆行+Rhizomatiks(真鍋大度、石橋素)が作品化した。アバゴ・テクノロジー株式会社が機材提供し、筑波大学芸術学部と多摩美術大学の学生が共同で夜景づくりに取り組んだ作品など、企業と大学がタッグを組んだ例もある。事例は枚挙にいとまがない。しかし、これらは個別のアプローチにより実現してきたものである。

今回のトークサロンは、こうした「企業×アート」のコラボレーションを、さらに集合的で自由かつ有機的な結びつけが実現できるよう、いわば企業とアーティストとの「集団お見合い」の場として開催された。スマートイルミネーションとしても初の実験的試みである。より多くの可能性とアイディアとの出会いは、優れたアート作品を生み出すのみならず、企業にとっても、スマートイルミネーションを通じ、多くの市民が目にできる街中で製品技術をプレゼンテーションする機会を得ることに繋がる。アーティストの思想を背景とした、これまでにないプロダクトが誕生する可能性もあるだろう。

当日は実行委員会からの呼びかけに応じた6組の企業が自社の製品をプレゼンテーションし、2組の企業が資料展示で参加。国内外で活躍する10名以上のアーティストが来場した。各企業にはアーティストから熱心な質問が寄せられ、予想以上の熱の入った情報交換が繰り広げられたことから、トークサロンをきっかけに、新たなコラボレーション作品が生み出されることを大いに期待できる会となった。2社のメディアが取材に入り、この取り組みに多方面からの関心が寄せられていることを裏付けた。

また、この場に、アーティストの髙橋匡太さんから嬉しい報告がもたらされた。2014年の髙橋匡太さんの出品作《movieng projection theater「たてもののおしばい」》が、DSA日本空間デザイン賞2015の優秀賞を受賞したのである。髙橋さんは「アーティストと新しい技術とがコラボレーションすることで、世の中に訴えかけ、評価を受けられる場であることが、スマートイルミネーションの仕組みの面白さといえます。(作品が)優れた空間デザインとして評価されたことは、非常に嬉しいことでした」と、話した。

今年、10月30日から5日間の日程で開催されるスマートイルミネーション横浜2015では、企業とアートのコラボレーション作品の、より一層の充実に期待したい。一方で、こうした取り組みはすぐに結果に結びつくとは限らないものでもある。「企業×アート」のコラボレーションを、横浜に「文化」として根付かせていくことで、アート、経済、まちづくりなど、様々なシーンの新たな可能性を開いていく仕組みづくりができるのでは、と、参加者からは、企業とアートのマッチングの場の継続開催を望む声も聞かれた。

次回トークサロンは、8月27日(木)19時から象の鼻テラスにて開催。テーマは「大学連携プロジェクトとスマートイルミネーション」を予定している。

実施概要

タイトル トークサロン第2回「環境技術の最前線」
開催日時 7月21日(火) 
トーク:18:30〜19:30
スナック・スマートイルミネーション(交流会):19:30〜21:30
会場 象の鼻テラス
出展企業 株式会社アシオス/株式会社アルファビジョン、価値創造研究所、
株式会社クエストアンドトライ、JHメディア株式会社、スタンレー電気株式会社、
パイフォトニクス株式会社
資料出展企業  音力発電株式会社、渡辺機工株式会社/アビックス株式会社、パナソニック株式会社
来場アーティスト 麻田亮(MIRRORBOWLER)、穴井佑樹、イノマタアキ、樫村和美、川瀬浩介、
菅野猛、日下淳一、島田正道(GwaGwa)、曽谷朝絵、髙橋匡太、
竹澤葵(株式会社FREEing)、水辺荘
進行 守屋慎一郎(スマートイルミネーション横浜 プランナー)

(文・写真:友川綾子)

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